真珠は宝石の盤に 〜たねの日記〜

たねです。日記、食べたものや読書を振り返れたらいいな

『楽園のカンヴァス』を読みました

原田マハ著 『楽園のカンヴァス』

 先日、『三月は深き紅の淵を』を読んでいますブログを書いて以来、読書感想を更新していなかった。実は既に読み終わったのだが、同じくらいにこの本も読み終えたので、先に感想を書きたいと思う。ネタバレを含むかもしれません。

 

 一言でいうと、この本を通じてアートをもっと知りたくなった。これまで美術館に「誰かの絵を求めて」行くことはあまりなかった。好きな絵本の企画展があるときは訪れるくらいで、常設展もふーんと見流し、「知っていたら面白いんだろうなぁ‥」という感想に留める程度、学生時代の美術の授業もそこから何かを感じ取る姿勢はまるでなかった。美術作品への興味は薄いが、ミュージアムショップは好きな人間だ。

 でも、この本に出てくるのはアートがとにかく好きな人たちだ。本当に何かを好きな人たちが話すのを聞いていると、その物事が輝いて見えてきて、ちょっと気になってくる。主人公たちを取り巻く事情は複雑で、現実を見させられるようなところもあるが、何かを好きな気持ちに勝るものはないと感じた。

 彼らはお話の中の人たちで、ただ覗き見ているだけなのに、友達が熱弁しているのを聞いているようだった。

 

 また、作中にはルソーと彼の作品をめぐるひとつのお話が展開される。これが、本当に面白かった。わたしが一番好きだった部分は第5章だ。ヤドウィガが抱いた感覚がひしひしと伝わってきて、最終場面の夜の静かな雰囲気も相まって切なさに胸が詰まった。周りの人たちの雰囲気から、好意とその裏のからかいを感じて居たたまれなくなることがわたしにもあった。わたし自身に対しても、他人に対しても。この場面は夜のバスで読んでいたのだが、隣に人がいるのに泣いてしまった。

 

 今一番気になるのは、ルソーはどんな人だったのだろうかということ、このお話はどこまで本当でどこからが創作なのかということ。自分でも調べてみたい。めちゃくちゃ美術館に行きたい。

 

 最後に‥‥

 わたしも「お友だち」がほしい!!!!!

 

 

 

追記: 本記事公開当初、書名『三月は深き紅の淵を』の表記に誤りがありました。申し訳ありません。