真珠は宝石の盤に 〜たねの日記〜

たねです。日記、食べたものや読書を振り返れたらいいな

ココアが美味しくなってきたね

 ここ数日若干暖かい日が続いているが、あっという間に11月も中旬に差し掛かっている。寒い冬の朝はココアが美味しい。

 

 学生時代、初めてのアルバイト先はレストランパーラーだった。基本的にはフロアの接客やお料理の配膳が担当業務なのだが、カフェタイムになるとドリンクやデザートを作るのも仕事のひとつとなる。冬が近付いてくるとよく注文されるのが、ホットココアだった。

 スタッフにはひとりのお兄さんがいた。その人は一番パフェを作るのが上手く、一番ケーキの飾りつけがきれいだった。そのため、私のカフェタイムメニューの指導係は彼だった。

 彼はココアの作り方をことさら丁寧に教えてくれた。小鍋にバンホーテンのココアと砂糖を入れる。この時に焦げない程度に少し炒ってあげるのがポイントだ。ふんわりと香りが立ってきたら牛乳を入れるが、この時に一気に入れてはいけない。すこーしずつ少しずつ牛乳を入れて練ってから最後に全量を入れて飲み物にする。そして、底にホイップクリームを絞ったカップの中に注ぐ。クリームは溶けずにぷかーっと浮かび上がってくる。私がよく行くスターバックスでは飲み物を作りきってからクリームを絞るので、生クリームがこんな風になるのかととても驚いた。最後はソーサーにスプーンと、お好みで追加するためのシュガーを盛って完成である。

 メニューには写真が載っていないため、大抵のお客さんはクリームがこんもりと乗ったココアに驚き、そしてかわいいねと喜んでくれた。作り方を教えられたとき、ココア自体が濃いので、「なかなかシュガーを追加する人はいないんじゃないかな‥」と思っていたのだが、客席に立ってみると案外皆入れていた。寒い日は甘いものでほっこりしたいものなのかも。

 

 そこを辞めて何年か経つが、未だに自分でココアを作るときはお兄さんを思い出しながら、小鍋でゆっくりと作るようにしている。お湯を注ぐだけで簡単に出来るココアもとても美味しいが、思い出と共にゆっくり作るココアはまた格別だ。皆さんも体を温かくして、元気に過ごしてくださいね。